ギラン・バレー症候群(GBS;Guillain-Barre Syndrome)
慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP;Chronic Inflammatory Demyelinating Polyneuropathy)
は、いずれも末梢神経の炎症性ニューロパチーに分類される。
GBS
・急性、単相性の、2肢以上=非対称性の筋力低下。一般に軽微だが、異常感覚など感覚障害を伴うことも多い。
・顔面神経麻痺(約半数に、両側性に認める)、眼球運動麻痺や嚥下・構音障害などの脳神経障害、自律神経障害(不整脈、血圧調節異常、膀胱直腸障害)を伴うこともある。
・約7割で、1〜3週間前に呼吸器あるいは消化器感染が先行。
・末梢神経ミエリンを標的とする脱髄性多発神経炎と考えられてきたが、近年プライマリーに軸索障害をきたす軸索障害型の存在が認識されるようになってきた。
Guillain-Barre症候群とCIDP
・有病率は10万人当たり年間1人ないし2人。どの年齢層にもみられ、男性が女性よりもやや多い。
・急性期の約60%の血中に抗ガングリオシド抗体が上昇(特に抗GM1抗体)→経過とともに低下消失。
・腱反射は低下ないし消失。
・髄液での蛋白細胞解離、および末梢神経伝導速度の低下・脱髄性変化は、通常1週間以降に明瞭となる。
・単相性の疾患であり、急性期を過ぎれば回復に向かう。しかし病状の極期には呼吸筋麻痺をきたして人工呼吸器が必要となったり、重篤な自律神経障害を伴う症例もあることから、急性期の全身管理がきわめて重要。また回復期にはリハビリテーションも必要。
・軽症例を除いて、急性期の自己免疫機序のコントロールのために、単純血漿交換療法や免疫グロブリン大量療法(IVIg)を行う。
・単純血漿交換療法により、ピーク時の重症度が軽減されたり回復が早まる。
・免疫グロブリンの静注(0.4g/kgBW/day×5日間)の治療効果は単純血漿交換療法と同等。
・ステロイド剤は経口投与、パルス療法とも有効性は認められていない。
・単相性の経過を示し、発症の2―4週(80%では2週)以内に症状はピークに達する。その後症状は軽快し、6〜12ヶ月前後で寛解することが多い。しかし約20%の症例は何らかの後遺症を残し、死亡例も約5%存在する。
・Fisher症候群はGBSの亜型で、外眼筋麻痺、運動失調、腱反射消失がTrias. 急性期診断に、抗GQ1b抗体の検出が極めて有用。
CIDP
・末梢神経髄鞘構成成分に対する自己免疫によって発症。
・緩徐に発症し、先行感染は明確ではない(一部に上気道感染)。
・亜急性又は慢性(2ヵ月から数カ月以上)に進行。階段状進行、または寛解再発することもある。
・上下肢の遠位部(または近位部)対称性に脱力と感覚障害。
・筋電図で、神経伝導速度の遅延(正常下限の70%以下)、振幅の低下(<1000μV)。
・深部腱反射の低下、消失。
・脳神経系はあまり侵されない。自律神経系の障害は、あっても問題になることは少ない。感覚障害のみの患者はCIDPに入れない。
・髄液で蛋白細胞解離(軽度 (正常の2〜4倍)の蛋白増加)。
・神経生検で炎症細胞浸潤と脱髄、オニオンバルブ形成、軸索変性が見られる。
・発症年齢は2〜76歳(平均30歳代)。有病率は推定0.3〜0.5人/ 100,000人と稀。
・多発性硬化症との合併が稀でない。(末梢神経での類似の機序が想定されている)
・約25%にMGUS(monoclonal gammopathy of undetermined significance)の合併---CIDP-MGUS IgM型では予後の悪い傾向。
・慢性進行性や再発性の経過をとることが多く、筋萎縮や重度の身体障害に陥ることが多い。自然寛解もときに見られる。
・多巣性運動性ニューロパチー(MMN;Multifocal Motor Neuropathy)は、上肢遠位優位、非対称性に、筋萎縮を伴った筋力低下をきたすCIDPの亜型。筋電図で多巣性に伝導ブロックがみられる。
両疾患ともに、機械的圧迫による神経障害(手根管症候群など)と異なり、筋萎縮を伴わない。
診断には、アミロイドーシスや血管障害(PNや糖尿病)、Vit.B1欠乏、ポルフィリン症、などによる他の末梢神経障害の除外が重要。
難病情報センター ギラン・バレー症候群
難病情報センター 慢性炎症性脱髄性多発根神経炎
今日の診断指針 第5版 :639-641
齋藤大輔:研修医症例検討会資料2008/08/06
・急性期の約60%の血中に抗ガングリオシド抗体が上昇(特に抗GM1抗体)→経過とともに低下消失。
・腱反射は低下ないし消失。
・髄液での蛋白細胞解離、および末梢神経伝導速度の低下・脱髄性変化は、通常1週間以降に明瞭となる。
・単相性の疾患であり、急性期を過ぎれば回復に向かう。しかし病状の極期には呼吸筋麻痺をきたして人工呼吸器が必要となったり、重篤な自律神経障害を伴う症例もあることから、急性期の全身管理がきわめて重要。また回復期にはリハビリテーションも必要。
・軽症例を除いて、急性期の自己免疫機序のコントロールのために、単純血漿交換療法や免疫グロブリン大量療法(IVIg)を行う。
・単純血漿交換療法により、ピーク時の重症度が軽減されたり回復が早まる。
・免疫グロブリンの静注(0.4g/kgBW/day×5日間)の治療効果は単純血漿交換療法と同等。
・ステロイド剤は経口投与、パルス療法とも有効性は認められていない。
・単相性の経過を示し、発症の2―4週(80%では2週)以内に症状はピークに達する。その後症状は軽快し、6〜12ヶ月前後で寛解することが多い。しかし約20%の症例は何らかの後遺症を残し、死亡例も約5%存在する。
・Fisher症候群はGBSの亜型で、外眼筋麻痺、運動失調、腱反射消失がTrias. 急性期診断に、抗GQ1b抗体の検出が極めて有用。
CIDP
・末梢神経髄鞘構成成分に対する自己免疫によって発症。
・緩徐に発症し、先行感染は明確ではない(一部に上気道感染)。
・亜急性又は慢性(2ヵ月から数カ月以上)に進行。階段状進行、または寛解再発することもある。
・上下肢の遠位部(または近位部)対称性に脱力と感覚障害。
・筋電図で、神経伝導速度の遅延(正常下限の70%以下)、振幅の低下(<1000μV)。
・深部腱反射の低下、消失。
・脳神経系はあまり侵されない。自律神経系の障害は、あっても問題になることは少ない。感覚障害のみの患者はCIDPに入れない。
・髄液で蛋白細胞解離(軽度 (正常の2〜4倍)の蛋白増加)。
・神経生検で炎症細胞浸潤と脱髄、オニオンバルブ形成、軸索変性が見られる。
・発症年齢は2〜76歳(平均30歳代)。有病率は推定0.3〜0.5人/ 100,000人と稀。
・多発性硬化症との合併が稀でない。(末梢神経での類似の機序が想定されている)
・約25%にMGUS(monoclonal gammopathy of undetermined significance)の合併---CIDP-MGUS IgM型では予後の悪い傾向。
・慢性進行性や再発性の経過をとることが多く、筋萎縮や重度の身体障害に陥ることが多い。自然寛解もときに見られる。
・多巣性運動性ニューロパチー(MMN;Multifocal Motor Neuropathy)は、上肢遠位優位、非対称性に、筋萎縮を伴った筋力低下をきたすCIDPの亜型。筋電図で多巣性に伝導ブロックがみられる。
両疾患ともに、機械的圧迫による神経障害(手根管症候群など)と異なり、筋萎縮を伴わない。
診断には、アミロイドーシスや血管障害(PNや糖尿病)、Vit.B1欠乏、ポルフィリン症、などによる他の末梢神経障害の除外が重要。
難病情報センター ギラン・バレー症候群
難病情報センター 慢性炎症性脱髄性多発根神経炎
今日の診断指針 第5版 :639-641
齋藤大輔:研修医症例検討会資料2008/08/06
